【贈与の税金③】

こんにちは。
税理士法人MIGHTY-THRUST佐賀オフィスです。
今回も贈与に関する基本的な知識を解説していきます。

4. 現金や預貯金以外の贈与の場合
贈与税がいくらか、または贈与税がかかるかどうかは、贈与された財産の価額で判断します。
現金や預貯金であれば分かりやすいですが、それ以外の財産の場合を確認しましょう。
贈与された財産の評価額の計算方法は以下のようになっています。


①株式(証券取引所に上場しているもの)
→「贈与された日の終値」「贈与された月の終値の平均」「前月の終値の平均」「前々月の終値の平均」のうち最も低い価額を選択。

②不動産(土地や家屋)
→相続税と同じ算出方法で評価額を出して贈与税額を計算。
・土地:路線価方式または倍率方式
・家屋:贈与された年の固定資産税評価額

5. 贈与税と相続税
贈与税に関するルールは、「相続税法」という法律で定められています。
亡くなった人の遺産は法律で定められた相続人が引き継ぎますが、遺産の総額が一定額を超えた場合は、相続人には相続した遺産の額に応じた相続税が課せられます。
相続税にも非課税枠がありますが、亡くなった人が保有していた経済的な価値のあるものすべてが課税対象となるため、場合によっては相続税の負担が重くなることがあります。
それが予測されるような場合には、生前に贈与をして資産を減らしておくことも重要です。
ただ、それが行き過ぎると、贈与が相続税の課税逃れに繋がるため、贈与税の税率は他のさまざまな税金に比べて高くなっています。
また、亡くなる前3年以内に贈与された財産は、相続税の課税対象となります。

【課税対象となる生前贈与は死亡7年前に変更】
「令和5年度 税制改正大綱」によって、相続税の課税対象となる生前贈与の加算期間が、「死亡前3年」から「死亡前7年」に拡大されることが決定しました。
適用対象は【令和6年1月1日以降の贈与】です。

6. 贈与税の特例
贈与税が軽減される特例には次のようなものがあります。

①贈与税の配偶者控除
結婚20年以上の夫婦の間で、居住用不動産、あるいは居住用不動産を取得するための資金を贈与した場合、贈与税の基礎控除とは別に、課税価格から2,000万円を控除することができます。

②住宅取得等資金の贈与の特例
18歳以上の人が、自分自身が住むための家屋を新築・取得したり、増改築したりするための費用を直系尊属から贈与された場合、最大1,000万円までが非課税になります(2023年末までの贈与が対象)。

③教育資金の一括贈与の特例
30歳未満の人が直系尊属から一括で贈与を受け、学校の授業料や学習塾・習い事の費用などに充てる場合、1,500万円まで非課税になります。
贈与する人が、金融機関に教育資金専用の受贈者名義の口座を開設し、そこに贈与する資金を預け入れます。
贈与を受けた人は、授業料などの領収書を提出して資金を引き出します。

【教育資金贈与の非課税制度の変更点】
教育資金贈与の非課税制度において以下の内容が変更となりました。
● 適用期限が3年延長(2023年3月31日→2026年3月31日)
● 贈与された資金が30歳までに使いきれなかった場合、残額にかかる贈与税の税率は受贈者の年齢により「特例税率」か「一般税率」を判断だったが、改正後はすべて「一般税率」へ統一
● 贈与者が死亡した際の残額は相続税の課税対象、ただし対象外の条件(① 23歳未満である場合 ② 学校等に在学している場合 ③ 教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受けている場合)に該当すれば課税されない
→ 対象外となる条件に該当しても、相続税の課税価格が5億円以上ある場合は課税

④結婚・子育て資金の一括贈与の特例
20歳以上50歳未満の人が直系尊属から一括で贈与を受け、結婚・子育ての費用に充てる場合、1,000万円まで非課税となります。
教育資金の一括贈与の特例と同様に、金融機関に開設した受贈者名義の口座に入金された贈与資金を、結婚・子育ての費用の領収書を提出して引き出します。

【結婚・子育て資金贈与の非課税制度】
結婚・子育て資金贈与の非課税制度において以下の内容が変更となりました。
● 適用期限が2年延長(2023年3月31日→2025年3月31日)
● 贈与された資金が50歳までに使いきれなかった場合、残額にかかる贈与税の税率は、特例税率 → 一般税率へ変更

⑤相続時精算課税制度
60歳以上の親または祖父母から20歳以上の推定相続人である子や孫への贈与が合計で2,500万円まで非課税になり、2,500万円を超えた部分は一律20%が課税される仕組みです。
ただし、贈与した親や祖父母が亡くなったとき、その相続時精算課税適用財産を相続財産に加えて相続税額を計算します。
先に納めた贈与税があれば、相続税額から控除できます。
父または母、祖父母など、相手ごとに相続時精算課税を適用できますが、いったんこの制度を選択すると、同じ人からの贈与はすべてこの制度が適用され、暦年課税での贈与税の申告はできなくなります。

【相続時精算課税制度の見直し】 
相続時精算課税制度を選択した場合における制度の内容が以下の通り見直されることが決まりました。
①相続時精算課税の特別控除額2,500万円とは別に、基礎控除110万円が創設
②相続までに贈与財産が災害被害を受けた場合、相続時の財産評価額は再評価となる
適用時期は【令和6年(2024年)1月1日以降】です。

7. 贈与税の申告と納税
贈与税の申告方法と納税の仕方を確認しておきましょう。

①申告期限は翌年3月15日まで
贈与税の申告は、贈与を受けた翌年3月15日までに、贈与を受けた人の住所地を管轄する税務署に「贈与税の申告書」を提出します。
納める贈与税は納付期限内に原則として現金で一括して支払います。
贈与税の特例を適用して税額がゼロになる場合でも、贈与税の申告書の提出は必要です。
相続時精算課税制度を適用する場合は、最初に贈与税の申告書に「相続時精算課税選択届出書」を添付して申告し、以降は贈与を受けた年ごとに毎回、贈与税の申告書を提出しなければなりません。

②申告漏れに注意
贈与税の申告が漏れた場合、本来納めるべき税額に加えて、5%~20%の無申告加算税が課せられます。
納税が遅れた場合は遅れた日数に応じて延滞税がかかり、贈与されたことを隠していた場合などは重加算税がかかることもあります。

いかがでしょうか。
相続税の節税対策として生前贈与が注目されていますが、節税対策のつもりで行った贈与がかえってトラブルになることもありえます。
贈与をするときは、贈与税の税負担も考慮して慎重に、そして計画的に行ってください。
相続や贈与に詳しい税理士に相談するのもよいでしょう。

税理士法人MIGHTY-THRUSTでは贈与税の申告にも対応しております。
まずはお気軽にお問い合わせください!
手厚い対応で皆様の事業をサポートさせて頂きます。

税理士法人MIGHTY-THRUST佐賀オフィス
佐賀県嬉野市嬉野町大字下宿乙1242番地301号
0954-33-4125
info@mightythrust.com