【電子帳簿保存法⑦】

こんにちは。
税理士法人MIGHTY-THRUST佐賀オフィスです。
2024年1月1日から電子取引データのデータ保存が義務化されます。
今回も電子帳簿保存法についてこれまでの内容を整理しつつ、より詳しく制度の理解を深めていくこととします。

10. 2023年の電子帳簿保存法の改正内容
令和5年度税制改正について、区分ごとに確認してみましょう。

改正のポイントは3点です。
・優良な電子帳簿の範囲の見直し
・スキャナ保存要件の緩和
・検索機能要件の緩和等

①電子帳簿等保存の改正内容
令和5年度税制改正によって、「優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置」の対象となる帳簿の範囲が変わります。

<優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の対象となる帳票>
・仕入帳
・総勘定元帳
・その他必要な帳簿
具体例:売上帳、仕入帳、経費帳、賃金台帳、売掛帳、買掛帳、固定資産台帳など

※改正前は「その他必要な帳簿」が「全ての⻘⾊関係帳簿」でした。

なお、この軽減措置を受けるためには、適用を受けようとする法定申告期限までに「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等に係る過少申告加算税の特例の適用を受ける旨の届出書」を提出する必要があります。

②スキャナ保存の改正内容
令和5年度税制改正では以下の保存要件が変更されています。

・解像度、諧調、大きさに関する情報の保存が不要
国政関係書類をスキャナ保存するにあたっての解像度、諧調、大きさに関する要件が廃止されました。注意したいのは、スキャナで読み込む際の解像度(200dpi以上)や諧調(原則としてカラー)というのは変わっていませんが、データ内に保持していた解像度や諧調の「情報」が不要になったということです。

・入力者等情報の確認要件が不要
スキャナ保存時にスキャナで誰が読み取り作業を行ったかという情報の確認が不要となりました。

・帳簿との相互関連性を必要とするものを「重要書類」に限定
国税関係書類について、スキャナで読み取った書類はすべて帳簿との関連性を求められていたのが、「重要書類」についてのみ帳簿との関連性が求められるようになりました。重要書類とは、契約書、領収書、送り状、納品書などのように資金やモノの流れに直結・連動する書類を言います。

なお、スキャナ保存についても適用にあたって提出書類はありませんが、「過去分重要書類」のスキャナ保存については届出が必要です。

③電子取引の改正内容
電子取引データ保存に関する主な改正事項は、下記2点です。
電子取引においては電子データの保存義務はありますが、検索要件については大幅に緩和されました。

・検索機能のすべてを不要とする対象者の見直し
税務調査の際には、調査担当者からのダウンロード要請に応えることができる場合、すべての検索要件が不要となります。
この検索要件がすべて不要となる対象者が次のように見直されました。

(ⅰ)基準期間の売上高が5,000万円以下の者である場合
基準期間とは法人では2事業年度前、個人では前々年にあたりますが、その期間の 売上高が5,000万円以下(改正前は1,000万円以下)であれば検索要件は不要となりました。

(ⅱ)電子取引を書面出力している者が一定の要件を満たす場合
電子保存データを書面に出力し、取引年月日、取引先などで整理された状態で提 示することができる場合には、検索要件は不要となりました。

・宥恕措置の廃止と猶予措置の新設
(ⅰ)2023年12月31日までは、電子取引であっても出力書面の保存をもって電子データの保存に代えることができます。この宥恕措置は適用期限の2023年12月31日で廃止されます。
(ⅱ)電子取引の電子データ保存への移行が「相当の理由により」できなかった者については、電子保存データを書面に出力し、かつ、電子データをダウンロードできるようにしておけば、検索要件は不要とする。

11. 電子帳簿保存法の対象企業
電子帳簿保存法の対象は、所得税や法人税の国税関係帳簿書類の保存義務者です。法人税を納める義務がある普通法人と公益法人等、所得税の納税義務がある人のうち事業を営んでいるような個人事業主が対象になります。法人や個人事業の規模は問われません。

12. 電子帳簿保存法の対象外の企業
電子帳簿保存法は、すべての企業や個人事業主に適用されますが、電子取引によってやり取りされた国税関連の文書についてのみデータ保存が必要です。
つまり、電子取引をしていない企業や事業者、または紙媒体で書類を受け取る場合は、データ保存の義務はありません。

今回はここまで!
次回で電子帳簿保存法については最終回となります!

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