源泉所得税について①

今回は源泉所得税についてみていきましょう。

源泉所得税とは?


 源泉所得税とは、毎月の従業員のお給料や対外的に払う報酬などに係る所得税を会社が計算して納付する制度のことです。
 元々は昭和15年に滞納の未然防止や納税の簡易化、納税者の補足を目的として導入されました。効率の良い徴税方法であったため戦後も継続し、昭和22年には年末調整の制度も始まりました。
 多くの場合、従業員個人のお給料を本人に代わって収めることになりますが、その範囲はお給料だけではなく、利子、配当にも及びます。また、外部の専門家等に報酬を払った際も源泉徴収を行い、税務署に納付する必要があり、法人はもちろんのこと従業員を雇っている個人事業主も漏れなく対象になります。
 納付期限は原則として翌月の10日までになりますが、後述する制度を利用した場合は年2回の納付ですむことになります。
 なお、一般的には給与を支払う人のことを「源泉徴収義務者」と呼びます。
 個人事業主や法人の方で、給料を支給し始めたら1か月以内に税務署に対して「給与支払事務所等の開設届出書」を提出する必要があります。そうすると、後述する納付書が送られてきます。もし遅れた場合や提出をしない場合は、税務署から追徴課税等を求められることがありますので必ず忘れないようにしてください。

計算方法


源泉税の計算は、国によって定められています。「給与所得の源泉徴収税額表」というものがありますのでそちらを使用します。

↓以下、国税庁のURLになります。
令和6年分 源泉徴収税額表|国税庁 (nta.go.jp)

こちらは毎年改正が行われており最新のものを使う必要があるので注意が必要です。
ここで甲・乙という表記が出てきますが、甲欄を適用するのは扶養控除申告書を提出している勤務先は甲欄、それ以外は乙欄になります。有り体に言ってしまえば、メインの働き先は甲欄・副業先などは乙欄になります。このあたりは入退社時に従業員に確認するのが一番確実は方法になります。

あとは本人の給与の金額から社会保険料を引いた金額を求め、甲欄であれば扶養親族を考慮した位置の金額が、その人の源泉所得税の金額になります。
ここでいう扶養親族とは、その年の12月31日時点で下記の要件を満たす人で、16歳以上の方のことを指します。
〇配偶者又は配偶者以外の親族または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること
〇納税者と生計を一にしていること。
〇年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること。
〇青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと。

なぜ16歳以上なのかというと、中学校卒業(15歳の誕生日後最初の3/31まで)は児童手当の対象となるためです。しかし、仮に16歳未満であったとしても障害をお持ちの場合などは扶養親族になるケースがあります。

納付の手続きについて


その月に源泉徴収した源泉税を集計し、納付書を作成します。一般的に「所得税徴収高計算書」と呼ばれるものです。
こちらにその月の支払った給与の金額、預かった源泉税の金額を記入したうえで銀行・郵便局に行って納付します。
昨今では、e-Taxと呼ばれる電子システムにおいてダイレクト納付と呼ばれる機能があり、こちらを利用すれば納付書を持参する必要なく納付手続きをすることができますので、是非ご活用ください。

↓以下、ダイレクト納付についてのURKになります。
G-2-2 ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)の手続|国税庁 (nta.go.jp)

納付の特例とは?


個人事業主で従業員が数人のところなどは毎月10日までに納付するのは大変ですよね?
そのような事業者のために納付の特例という制度があります。これは、給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者は、毎年7月10日と1月20日の2回だけになるという制度です。7月10日分は1月から6月まで、1月20日分は7月から12月までになります。もちろんこの特例の適用を受けるためには、事前に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」(以下「納期の特例申請書」といいます。)を税務署に提出することが必要です。また、給与の支給人員が常時10人以上となり、源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなった場合は、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を提出することが必要です。

最後に


ここまで源泉税についてみてきましたが、いかがでしたでしょうか。
毎月の納付は大変ですが、忘れてしまうと大変なペナルティになるのでご注意ください!